昔の暮らしを知ってみよう

歴史民俗資料館で展示している「ワラ細工」などを中心にご紹介します。

わらじ、ワラ布団、つぐら

雪がふると「セッキ仕事」といって、冬の仕事をします。男のひとは「ワラ仕事」、女のひとは「ハリ仕事」をしました。ハリ仕事とは、ぬいもののことです。着るものや、布団などをぬいました。

ワラ仕事は、冬のあいだに1年分のものをつくりました。ひとりが1年間でつかうゾウリは、約100足ほどだったそうです。1カ月にすると約8足、1週間で1~2足ですね。ゾウリは、1日10足つくると「1人前」と言われたそうです。下の写真は、はなおの部分を赤い布で巻いたゾウリです。

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下の写真は、ゾウリと同じ作り方の「足半(あしなか)」です。かかとの部分がないゾウリです。かかとが無い分、小さいので早く作られて、ワラも少なくてすんだそうです。それと、はいているときも、かかとが無い分、軽くて動きやすかったようです。

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上の写真は「人間用」の「わらじ(ゾウリと同じような形ですが、ひもで足くびを結んで、走ったりしやすい)」です。下の写真は「馬用のわらじ」です。すべり止めと、ツメをまもるためです。馬はツメが割れていないのでこの形ですが、牛の場合は割れているので、人間のわらじと同じ形だそうです。

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ワラは、両手でつかんでにぎれるくらいのタバにして、下の写真のような「横づち」という、木でできた「こん棒」でたたきました。ひとつの束で5分くらい、たたいたそうです。そうすることで、ワラのセンイをつぶして、やわらかくしました。ワラたたきは、力はいるけれど、むずかしい仕事ではないので、昔は小学生くらいの子どもの仕事だったそうです。

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たたいたワラは、つぎに「すぐり」ます。ケバ(こまかいワラの部分)をとるんですね。その、とったケバを中に入れて、布団にしていました。下の写真のまんなかには、布団がつんであります。ワラ布団は、ワタの布団の上に重ねてしいて寝たそうです。ワラ布団をさわってみると、カサカサっとワラの音がします。かけるのは「夜着(ゆうぎ)」という、大きなソデがついたワタの布団でした。ワラ布団は、あたたかくフカフカして、とっても気持ちがよかったそうです。

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ケバは、赤ちゃんを入れるカゴ「つぐら」に入れて、その上に布をしいてから、赤ちゃんをねせたそうです。下の写真が、つぐらです。家の外へも取っ手を持って連れて行ったそうです。田んぼや畑の近くにおいて仕事をすることもあれば、赤ちゃんだけつぐらに入れたまま家において、仕事へ出ることも、よくあったそうです。

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「つぐら」は他にも、あります。ごはんがさめないように使われた「めしつぐら」は下の写真。

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ネコが入ってねるための「ねこつぐら」もあります。昔、ねこは「ペット」というより、害があるねずみをとってくれるので、大事にされていたそうです。ねこつぐらは、つくるのがとてもむずかしくて、上のところをふさぐのが大変だと言っていました。

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つくった人に「ネコって、自分が入るものだってすぐ分かるものですか?」と聞いたら、すぐ入ったそうです。中に入ってバリバリとツメをといでるんだそうです。いいおうちがあっていいですねえ、ネコ。