昔の暮らしを知ってみよう

歴史民俗資料館で展示している「ワラ細工」などを中心にご紹介します。

ヒロロ製ミノ

毎年、夏休みに「クイズラリー」を開催しています。3年前、「鳥追い祭りの写真で、子どもがかぶっているものは何ぼうしでしょう」という問題を出しました。

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答えは「すげぼうし」でしたが、「わらぼうし」と書いた人が多かったのです。展示品にならい、答えは「すげ」としましたが、お客様から「すげって何?」と質問されました。

「スゲは草です」と答えると「ワラとは、どう違うんですか」と、また質問。「ワラは稲ですよね。スゲは、その辺に生えている草です」と、ワラ細工職人の小林守雄さんから聞いたように説明しました。

でも「その辺」って、どの辺なんでしょう。スゲ以外に、ヒロロ(ミヤマカンスゲ)も、ミノを作る際に用いられました。

湯沢町史・双書7『湯沢町の民俗(1)雪の越後 山里湯沢・三国越え』には、「一般にヒロロと呼ばれるミヤマカンスゲは、山間地に自生しているカヤツリグサ科スゲ属の植物で、ワラより軽くて水はけが良いため、雨具の材料としてよく用いられた。(中略)ヒロロは、ワラよりしなやかなので細かい細工がしやすかった」と記載してあります。

小林さんに「ヒロロを採りに行くことってないですか。もし採りに行くなら、採る所を見せてほしいのですが」と聞いてみると、「道芝(ミチシバ)なら採りに行ったよ」との答え。

道芝はヒロロより採りやすい場所に生えているので、小林さんは魚野川沿いの土手で採ったそうです。 

見せてもらいに行くと、道芝でミノを作っていました。

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当館ではワラミノやヒロロミノを展示していますが、道芝ミノとは初めて聞きました。実は、小林さんも道芝で作るのは初めてとのこと。「興味深々で作っているよ」と話し、目を輝かせていました。

40~50センチの長さで揃えた道芝は干した後、両手でつかむ位で束にして、80束ほど用意。ミノ4着を作る予定です。

竹をしならせて、首のカーブを形作り、そこから6センチくらいの長さで編んで段にしていきます。道芝は太い部分と細い部分の差があるので、ワラで作るより難しいそうです。

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「ワラ細工の中で一番難しいのがミノ。親が作ったと言う人はいるけど、自分で作られると言う人は少ないと思う。ミノを上手に作られたら、ワラ細工の作り手としては一人前だね」と、小林さんは話しました。