昔の暮らしを知ってみよう

歴史民俗資料館で展示している「ワラ細工」などを中心にご紹介します。

職場体験学習

中学2年生の「職場体験学習」が行われました。当館で、わらじ作り体験の講師を務める小林守雄さん85才とは71才違い、14才の中学生です。

常々、現在と「昔の暮らし」の違いを実感していますが、中学生にとって、小林さんが昔、暮らしていた当時の様子は、どう感じるものなのでしょう。

そこで、展示されているワラ細工品や農具などを見ながら、小林さんから昔の話をしてもらいました。

3つ並べて展示されている「つぐら」のパネルを伏せて、中学生に「何を入れたと思いますか?」と質問しました。

「猫つぐら」を見て「犬が入ったのかな」と予想しましたが、小林さんは「昔は家の中で犬を飼うということはなかった。今、このような猫つぐらは人気があるから頼まれて作るけど、昔は木の箱を使っていた」と話していました。※木の箱は常設展示していません。

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ご飯を保温した「飯つぐら」は「赤ちゃんをお風呂に入れるときに使ったのかなあ」との予想で外れましたが、赤ちゃんを入れた「つぐら」は「赤ちゃんが寝るのかなあ」との予想で正解。でも、「寝る」というイメージとは少し異なります。小林さんが解説しました。

「1才位になると自分で抜け出たので、布団で巻いてからヒモでしばって入れ、周りに布を詰め込んだ。がっちりしばって、絶対に動けないようにした」

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「なんか怖い」と感想を話した中学生。なぜ、そうしたと思うか問うと、「赤ちゃんだけ家に残すと危ないから」と、きちんと理解していました。

昔の食生活についても、小林さんから聞きました。

「昔は、1食でひとり一升(10合)食べた。めんぱ(山仕事などに持って行く曲げ物製の弁当箱)に、箸を差したら持ち上げられるくらい、ごはんを詰め込んだ。そのくらい食べないと仕事にならなかった」

中学生が「米俵60キロも、縄ないで作った縄を使って担いだんですか」と質問しました。もちろん担いだのだそうです。

「中学生くらいになると一人前に働かされたけど、特別なことじゃなかった。朝から晩まで働いた」との小林さんの答えを、しっかり聞いていました。

話を終えて帰る際、小林さんは「一生懸命に聞いてくれて嬉しかった。知らないことを質問する、というのは大変なことだ」と感心して話していました。

小林さんが帰った後、中学生は手紙を書いてくれました。「昔の知らない話を聞くことはとても面白く、そして自分たちがいかに楽をして生きているかが分かりました」という内容、私も同感です。そして「ごちそうは肉ではなく、お餅や赤飯だったと聞いてびっくりしました」ということも。私も「鶏肉やタマゴかな」と思っていたので、「お餅なんだあ」とびっくりしました。