昔の暮らしを知ってみよう

歴史民俗資料館で展示している「ワラ細工」などを中心にご紹介します。

昔の農作業

雪国館では「わらじ作り体験」を夏休みの3日間(2016年7月30日、8月20日、8月27日)、開催します。講師はワラ細工職人の小林守雄さん(85)。体験は片足分だけの作業ですが、完成した片足分がお土産でつきます。ですので、小林さんからたくさん作っておいてもらわなければなりません。

倉庫に保管していたワラを小林さん宅へ届けると、言われました。

「これじゃ足りないなあ。すぐったら、いくらにもならない」

そうでした、すぐるんですよね。「すぐる」とは、ワラの「はかま」(「シビ」とも言います)を取り除くことです。ちなみに、はかまは捨てたりせず、「ワラ布団」や「つぐら」に詰めたりして使いました。

稲刈りの際、コンバインなど農業機械を利用するようになってから、ワラは細かく裁断して田んぼに撒くようになりました。

今の時代、ワラって、どうやって手に入れられるのでしょう。

インターネットで調べると、通信販売で買えるようですが、米どころに居ながら送料をかけてというのも惜しく、地元で探したい思いがありました。

そこで、イベントでお世話になった方から「ひらくの里ファーム」の青木拓也さんを紹介してもらい、南魚沼市の山谷までワラを仕入れに行ってきました。

前回、牛馬を飼っていた家を調べて分からなかった内容を書きましたが、拓也さんの祖父、喜義(きよし)さん(83)に「昔、牛や馬を飼っていませんでしたか」と聞いてみました。

すると、「それぞれ一頭ずつ飼っていた」とのこと。昭和47年まで住んでいた茅葺屋根の家には「厩舎(うまや)」があり、人間と一緒に暮らしていたそうです。

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【写真は青木さん所蔵】

農作業や荷物の運搬以外にも、牛馬は必要とされていました。昔は、田畑に堆肥(たいひ)を撒かねばならず、牛馬の糞をワラに混ぜ、発酵させて使ったのです。3月末頃にかんじきを履いて、まだ雪がある田畑の角に4か所ほど1メートル真四角に穴を掘り、ソリに堆肥を積んで穴に運び入れ、雪が融ける頃に「肥(こえ)かご」で撒いた、という話が印象的でした。そのように農作業していたとは始めて知りました。

今、お米が8俵とれる大きさの田んぼでも、昔は6俵しかとれなかったそうです。家族が多いこともあり、お米は今よりもずっと貴重だったのでしょう。

喜義さんは、近所のお姉さんがウツギの葉を取りに山へ行っていた話もしてくれました。糧飯(かてめし=米の消費を抑える目的で廉価な食品を炊きこんで増量した飯)として、塩漬けにした葉を塩抜き後、搾ってから包丁で切り、ご飯が煮立った時に入れたそうです。「青くて甘い香りがしたね」と、喜義さんは懐かしそうに話しました。